平成24年8・9月号



沢木耕太郎/著 講談社

  海の事故で両親を亡くした男の子「冬馬」は、みずうみのほとりに建つ「みずの家」で、おじいさんと二人だけで暮らし始める。
海とちがって、さざ波しか立たない湖面に安心する冬馬。
しかし、だんだんと不登校になってしまう。そんなある満月の夜、湖面に浮かぶ小さな舟にのった少年が吹く笛の音に誘われて家の外に出てみると・・・。
「深夜特急」で著名な沢木耕太郎さんが、東日本大震災をきっかけとして、「いのち」「家族」を考えるために書き始めた児童書の一冊。



ジェラルディン・マコックラン/著 偕成社

 おばさんが見た夢のお告げで、14才までに死ぬと決めつけられて育った少年ペッパー。
彼は14才の誕生日をむかえた朝、みんなが自分の死を待っていると感じ、家出を実行する。死の天使に追われながら、船乗り・電報配達・新聞記者見習いなど職を転々とし、 名前を変え、居場所を変えながら別の人間になりすますが、行く先々で死の予兆を見てしまう。さて、ペッパーは逃げきることができるのか?
わくわくドキドキの痛快冒険小説。



瀬戸内寂聴/著 講談社

  瀬戸内寂聴さんが、若者たちに熱いメッセージを送っています。
「疑う」ことと「挑戦する」ことのすすめです。
「大人たちの常識を疑ってみること。太平洋戦争と東日本大震災の人災を経験した私は、そのことの大切さを痛感しているのです。」
「人間にとって大切なものは、目に見えません。人はもっと自由に、生きたいように生きればよいのです。」
「見返りを求めずに、人の為に尽くす。進むべき道に迷ったら、より危険な方を選ぶ。-若者たちにはきっと、そんな生きかたができるはずです。」
こころに響く、珠玉の言葉が溢れた一冊です。