平成24年10月号



キャスリン・アースキン/著 作品社

 パパは天才的な数学者で、ぼくがエンジニアになるのを望んでいる。数学ぎらいの中学生マイクは、人間味の感じられない父親に反発していた。
パパの仕事の都合で、大おじさんの家に行った6週間のうちに、ぼくは個性豊かな人たちと、小さな町の人々を幸せにするプロジェクトに取り組む“エンジニア”になった。
劣等感のかたまりだった少年が、大きなマイナスをはじき飛ばして手に入れた「絶対値」。
金原瑞人さんが選んだオールタイム・ベストYA.の一冊。
元気が出る、宝箱のような物語。



小路幸也/著 ポプラ社

 その昔、イギリス中の美術品や金品を上流階級から盗み、現場には“seint”と刺繍された手袋を片方残すのみで、決して捕まらなかった世紀の大泥棒。そんな「泥棒紳士」が実は日本に帰化して、花咲小路商店街に隠居中なのです。
時代遅れになってしまった花咲小路商店街に、ある日、「マッシュグループ」という国際的な企業が、再開発の名目で乗り込んできます。商店街の仲間は何とか対抗しようと頑張りますが・・・。
そこに、若い手下を二人従えた「ダンディな紳士」が参戦し、奇想天外な方法で事件を解決していきます。じんわり心温まる、わくわく・どきどきの作品です。



石川遼/著 講談社

 高校一年の5月20日を境に、石川遼君は激動の人生を歩き始めた。プロゴルフのトーナメントで、世界最年少の優勝を果たしたのだ。
これは、ギネスブックにも掲載されている。
16才でプロゴルファーとなり、史上最年少賞金王を達成し、世界一大きいトーナメントの「マスターズ」に4度も出場している。「私も遼君のような子どもが欲しい」と世のお母さん方が思うように、順風満帆に成長してきたかのような遼君。
20歳になった現在、4才から父親と一緒にゴルフを始めてからの人生を、丁寧に振り返っている。 そして、「夢を持とう」「遼君にできて僕にできないことはない」と全国の子どもたちが思ってくれることを願っている。



杉本りえ/作 ポプラ社

 「お父さんの生れた島に帰って、ペンションをはじめる」両親の言葉は、中学2年生の灯子にとって、晴天のへきれきだった。
都会生れの少女にとって、コンビニもファストフード店もない人口100人ほどの島の暮らしは…。
過疎化が進む島の住民に歓迎されつつも、どこか壁を感じてしまう灯子。しかし、たった9人しかいない分校の学校祭は島をあげて盛り上がり、島民全員の似顔絵を描いた灯子は、その時から、島に溶け込んでいく。
かけがえのない場所、かけがえのない人を見つけた少女の青春小説。