蜂飼耳/文 竹上妙/絵 理論社
野原(のはら)にぽつんと、あかりがともっています。
それは夜(よる)の駅(えき)で、あかりがついたままなのは、駅員(えきいん)さんがすんでいるからです。駅員さんは、ふくろうで、夜(よる)のあいだもおきて、あたりを見(み)まもっているのです。ひまなときはお茶(ちゃ)をのんだり、本(ほん)を読(よ)んだりします。ある夜(よる)、ふみきりの信号機(しんごうき)が鳴(な)りだし、ふくろうはあわてて、そとへとび出(だ)しました。
駅(えき)をとおる予定(よてい)のない列車(れっしゃ)がやってきて、ホームにかたんととまると、乗(の)っていたのは一羽(いちわ)のひよこです。うまれたばかりのひよこは「朝(あさ)をさがしにいこう」と思(おも)って、まいごになっていました。なきだしたひよこに、ふくろうはオカリナをとりだしました。
そして…。
マージョリー・ワインマン・シャーマット/文
バーバラ・クーニー/絵 福本友美子/訳 ほるぷ出版
オポッサムのホイホイは、ともだちのフムフムのいえにいきました。「おちゃにしよう」というフムフムに、ホイホイは「いっしよにさんぽにいこう」とさそいました。「こっちのあしをだし、つぎにこっちのあしをだしてすすむのがさんぽ」とおしえてくれました。フムフムは、いちどもさんぽをしたことがないのです。フムフムはさんぽのまえに、おちゃをいれてくれました。
そしてまどからそとをながめました。
「だいじなのは、ゆったり のんびりすること」やっと、ふたりはさんぽにでかけますが…。 低学年から
「ポケットのなかのジェーン」~四つの人形のお話 1~
ルーマー・ゴッデン/作 プルーデンス・ソワード/さし絵
久慈美貴/訳 たかおゆうこ/装画 徳間書店
ジェーンは小(ちい)さなとうきの人形(にんぎょう)です。はじめのもちぬしの女の子(おんなのこ)は、ジェーンを人形(にんぎょう)の家(いえ)にいれました。でもジェーンは「ポケットにいれて、外(そと)へつれてって」とねがいつづけました。ジェーンは人形(にんぎょう)の家(いえ)にいるよりも、外(そと)の世界(せかい)がすきでした。ある日(ひ)ジェーンは、ギデオンという男(おとこ)の子(こ)にであいます。家(いえ)にとじこめられていたジェーンは、ギデオンに「たすけて」といのります。ギデオンはジェーンをつかんでポケットにいれてくれたのです。ジェーンは、とうとう外(そと)の世界(せかい)をみることができました。ギデオンといっしょにぶらんこにのったり、木(き)のてっぺんにのぼったりしたのです。
中学年から
ハンス・クリスチャン・アンデルセン/著 スティーブン・コリン/英語訳 江國 香織/訳
エドワード・アーディゾーニ/選・絵 のら書店
アンデルセンはデンマークの作家(さっか)です。靴職人(くつしょくにん)の息子(むすこ)として生(う)まれ、オペラ歌手(かしゅ)をめざしますが評価(ひょうか)はされませんでした。その後(ご)たくさんの物語(ものがたり)を書(か)きます。その物語の中(なか)から画家(がか)のアーディゾーニが十四編(へん)を選(えら)んだのがこの本(ほん)です。「小さな人魚(にんぎょ)」「空(そら)を飛(と)ぶかばん」「おやゆび姫(ひめ)」「かがり針(ばり)」など、物語と一緒(いっしょ)にすてきな挿絵(さしえ)も楽(たの)しんでください。今(いま)まで読(よ)んだことがある物語でも、また新(あたら)しい楽(たの)しさが見(み)つかるはずです。美(うつく)しかったり、おかしかったりする豊(ゆた)かなアンデルセンの物語はこれからもずっと残(のこ)っていくでしょう。