平成30年7月号



久留島武彦/作 市居みか/絵 子どもの未来社

 音楽(おんがく)のだいすきなきょうだいがいました。なまえを、はじめ、つぎお、みつひこといい、バイオリンをならっています。学校(がっこう)からかえると 木(き)の下(した)や池(いけ)のほとりでけいこをします。
 みんながねしずまると、はじめはうらの小(ちい)さい池でバイオリンをひきました。いっしょうけんめいひくと、池のかえるの声(こえ)がきこえなくなり、お月(つき)さまもききほれました。はじめがひきおえると、小(ちい)さいかえるが「家(いえ)にきて、ひいていただけませんか」とたのみました。はじめはかえるの家が見たくなり、いくことにしました。たくさんのかえるたちがおでむかえです。はじめがバイオリンをひきはじめると…
  えほん



かんのゆうこ/さく くまあやこ/え 講談社

 くまのソラタは、あるいてあるいてようやくあたらしい森(もり)にたどりつきました。ずっとあるきどおしだったソラタは、おおきな木(き)のねもとにすわりました。どこからかちいさなうたごえがきこえてきます。ソラタが、あたりをみまわしても、だれのすがたもみえません。うたごえのきこえてくるばしょをさがします。おおきなあながあいていました。あなのそこで、一(いっ)ぴきのちいさ なきつねが、空(そら)をみあげてうたっていたのです。  きつねは「あなにおちてこまってるところ」といいました。きつねをたすけたソラタがなまえをききました。きつねはなまえはないといいました。
  低学年から



高野由里子/編訳 古沢たつお/絵 風濤社

 むかし、山(やま)の中(なか)に、七人(しちにん)の巨人(きょじん)のきょうだいがくらしていました。巨人たちは山(やま)のような大(おお)きさで、らんぼうものでした。巨人たちはいえごとにんげんをふみつぶしたべてしまうので、村人(むらびと)たちはきょうふにふるえました。このままでは村(むら)はぜんめつです。なんとかしなければなりませんが、巨人は七人、いつもいっしょにいるのです。村(むら)の長(ちょう)ろうは、コヨーテにたすけをもとめました。かしこくて、ゆうきもあるコヨーテなら、きっと巨人とたたかえるはずです。こまったコヨーテは、キツネにそうだんし、さくせんを立(た)てたのです。それは…。
 インディアンと、どうぶつたちがなかよくくらしていたころのお話(はなし)です。
  中学年から



日向理恵子/作 サクマメイ/絵 PHP研究所

 繭(まゆ)の部屋(へや)の壁(かべ)には、ずらりと絵(え)はがきがならんでいます。お母(かあ)さんとでかけた美術館(びじゅつかん)のおみやげです。小学(しょうがく)4年生(ねんせい)の冬(ふゆ)まで、ふたりででかけて作品(さくひん)に見(み)いったのでした。5年生になり、繭は学校(がっこう)へいかなくなりました。理由(りゆう)なんてないのです。部屋(へや)からでられず、自分(じぶん)でもわからない不安(ふあん)が、繭の体(からだ)をこわばらせました。
 ある日曜日(にちようび)、両親(りょうしん)は仕事(しごと)に出(で)かけ、繭ひとりになりました。外(そと)を見(み)ると矢(や)じるしがあるのです。矢じるしの方(ほう)向(こう)をたしかめたいと思(おも)う繭は、ついに玄関(げんかん)の扉(とびら)を開(あ)けます。矢じるしは、〈日曜日舎(にちようびしゃ)〉という、日曜日だけを生(い)きる者(もの)たちの集(あつ)まるギャラリーにたどりつきました。そこではスケッチクラブがあり繭は参加(さんか)することに…。
  高学年から