平成29年11月号



ベンジャミン・エルキン/原作 ザ・キャビンカンパニー/絵 こみやゆう/訳 瑞雲舎

 むかし、カールおうという おうさまがすんでいました。このごろカールおうは ちっとも ねむれません。ひとばんじゅう ベッドのなかでふとんを けとばしたりしていました。
おしろのだいじんたちは はなしあいを はじめました。うるさいおとを けすために ひこうきをとおくへはこびだし さわがしい きしゃのレールをとりはらいました。ブンブンとぶ ハチのすをくにのそとまで もっていき、ザワザワなるきに ぬのをかぶせたのです。
ところが カールおうは、それでも ねむってくれません。そこで だいじんたちは…。
  えほん



斉藤洋/作 浅倉田美子/絵 偕成社

 スズランのはなは すずに にているだけではありません。チリン、チリンとすずのように なるのです。
しんげつのよる。まんてんのほしのした…。ちいさなコロボックルが スズランの くきをゆすると、はながなるのです。みみをすませてみてください。チリン、チリン、おとのするほうにいくと、やんでしまいます。ちがうほうから また すずのねが…。だれも コロボックルのすがたは みられません。
どんなひとにも エピソードがあるように、どんなはなにも ものがたりがあるのです。いつつのはなにある いつつの ものがたり。
みんなは どんなはながすきですか。
  低学年から



角野栄子/作 森 環/絵 偕成社

 1942年、初夏(しょか)。おもて通(どお)りのお店(みせ)がいなかに越(こ)して、からっぽになりました。わたしは、なに屋(や)さんになるのか気(き)になっていたら、「タスケ靴店(くつてん)」と、かんばんがつきました。タスケさんは、ほそながい背中(せなか)をまるめて、靴(くつ)のうらをカナヅチでたたいたり、あぶったりこすったり。いやなにおいは、甘(あま)いにおいにかわります。なかをのぞくと、タスケさんが戸(と)をあけてくれました。
お店には、ぼろぼろの靴(くつ)ばかり。戦争(せんそう)で靴の材料(ざいりょう)がないので、新(あたら)しく靴をあつらえることは、ぜいたくだったのです。
タスケさんは、平和(へいわ)なときに作(つく)った赤(あか)いハイヒールのことを話(はな)してくれました。わたしも赤い靴がほしくなり、タスケさんに注文(ちゅうもん)したのです。けれども材料(ざいりょう)がありません。すると…。
  中学年から



小森香折/作 植田真/絵 BL出版

 森(もり)の園芸学校(えんげいがっこう)に通(かよ)うリスのホップは、花(はな)が大(だい)すきです。
ある日(ひ)、庭師(にわし)の見習(みなら)いをさがしていることを聞(き)き、ホップは働(はたら)きたいと思(おも)います。案内(あんない)された庭(にわ)は「時知(ときし)らずの庭(にわ)」といい、外(そと)の世界(せかい)とはちょっとちがいました。庭師はアナグマのイダ、ヘビのリリスは番人(ばんにん)です。
ホップが庭にとびだすと、なんとも奇妙(きみょう)な庭でした。イダはチューリップにパンくずをまいているのです。ホップのはじめの仕事(しごと)は雑草(ざっそう)とりで、黒(くろ)ずんだ草(くさ)をひきぬこうとしますが、びくともしません。草はヤマシイ草(そう)といい、ヤマシイと思(おも)うひとがいるとはえるのです。
森(もり)に出(で)かけ、ヤマシイと思(おも)うひとの気持(きも)ちを変(か)えなけなければ、草はとれないというのです。
  高学年から