平成30年2月号



二宮由紀子/文 北見葉胡/絵 BL出版

 むかし、ある国(くに)にりっぱな王(おう)さまがおられました。おきさきさまはなくなられ、ちいさなおひめさまがひとりのこされました。
金色(きんいろ)の長(なが)い髪(かみ)の、それは美(うつく)しいおひめさまでしたが、あんまりちいさかったので、だれにも見(み)えません。侍女(じじょ)たちやお城(しろ)の家来(けらい)たちはこまりました。おひめさまにドレスを着(き)せたり、お庭(にわ)をはいたりするたびに、おひめさまをふきとばしたりしたら、たいへんです。おひめさまは成長(せいちょう)し、ますます美(うつく)しくなりましたが、王さまだけが見(み)ることができました。
そのころ、となりの国の王子(おうじ)さまが、けっこんあいてをさがしていました。
  えほん



吉田道子/文 小林系/絵 福音館書店

 かんこは、とうふやのこどもです。とうさんは早(はや)おきで、「よし!」と気合(きあ)いをいれ、とうふをつくりはじめます。ゆげがしょわしょわひろがり、大豆(だいず)のにおいがただよいます。
とうさんは、とんがり山(やま)のふもとに、はじめてじぶんの店(みせ)をもちました。とんがり山(やま)には、きれいな水(みず)がわきでているからです。店(みせ)はにぎやかな通(とお)りからすこしはなれていて、とうふも売(う)れのこりがありました。
かんこは、おおくの人(ひと)にとうふを食(た)べてもらいたいのです。そこでかんこは、とうふの絵(え)をかいて、みんなに見(み)えるよう店(みせ)のよこのモミジの木(き)のえだにはさみました。
しばらくすると、ふしぎなおきゃくさんがやってきて…。
  低学年から



みずのよしえ/作 いづのかじ/絵 偕成社

小(ちい)さな風(かぜ)づくり工場(こうじょう)は、小高(こだか)い場所(ばしょ)にあります。
はたらいているのは町(まち)のねこたちで、三毛(みけ)ねこ工場長(こうじょうちょう)の指示(しじ)のもと、つぎの日(ひ)に町にふく風をつくっています。スノウやトラ助(すけ)は風の研究(けんきゅう)を、お昼(ひる)ごはんをつくるのはペロリ料理長(りょうりちょう)、犬(いぬ)のハックもはたらいています。
小(ちい)さい黒(くろ)ねこのノロロは、人間(にんげん)たちのわらい声(ごえ)のかけらあつめがしごとです。わらい声のかけらは風の主原料(しゅげんりょう)で、多(おお)くあつめることがだいじです。けれどもノロロはおひるねが大(だい)すき、しごとをやすんで、おひるねをしていました。
そんなノロロにきじねこのナツというなかまができたのです。ナツはノロロにおひるねよりたのしいことをおしえてくれました。それは工場のまるタンクのてっぺんにひみつが…。
  中学年から



吉野万理子/作 宮尾和孝/絵 学研プラス

 広記(ひろき)は小学(しょうがく)6年生(ねんせい)、野球(やきゅう)チームに入(はい)りますが、レギュラーになれずにやめてしまいます。それでも野球が大好(だいす)きで、父(とう)さん、妹(いもうと)の奈奈(なな)、友(とも)だちの健太郎(けんたろう)、トモちんの5人で野球観戦(やきゅうかんせん)することが楽(たの)しみでした。ある日(ひ)、健太郎が野球観戦を引退(いんたい)すると言(い)い出(だ)します。中学受験(ちゅうがくじゅけん)を目指(めざ)しているから引退するという広記に、健太郎は母親(ははおや)から「他人(たにん)の応援(おうえん)をする人(ひと)じゃなく、自分(じぶん)が応援される人になれ」と言(い)われたと話(はな)します。「応援するだけの人間(にんげん)で終(お)わったら、ガッカリ」という言葉(ことば)に広記は心臓(しんぞう)をズン、と突(つ)かれたような痛(いた)みを胸(むね)に感(かん)じます。健太郎、そしてトモちん、自分(じぶん)が守(まも)らないと生(い)きていけないと思(おも)っていた妹まで自分のゆめを考(かんが)え始(はじ)めていたのです。
  高学年から