平成28年9月号



きしだ えりこ/さく  やまわき ゆりこ/え  福音館書店

 おひさまが のぼると、ことちゃんのいえの はとどけいの おもちゃの はとが あたまを だして 「くくう くくう…」と なきだします。それから ねこの ねねこは ことちゃんといっしょに あさごはんを たべるのです。
 ねねこは いつでも はとどけいの はとと あそびたいなと おもっていました。ねねこが たんすにとびのって はとがでるのを まっていても はとは「くくう」とないて ひっこみ ます。とうとう ねねこは、とけいのまどが あいて、はとが ないたとたんに、はと どけいの やねに とびのりました。
 さて はとと ともだちに なれるかな。
  えほん



安房 直子/作  あおき ひろえ/絵 岩崎書店

 いつでしたか、ぼくが 山(やま)で道(みち)にまよったときの話(はなし)です。歩(ある)きなれた山道(やまみち)を、ぼんやり歩(ある)いていました。道をひとつまがったとき、ふと空(そら)がとてもまぶしいと思(おも)いました。ああ、そこは、いつもの杉林(すぎばやし)ではなく、ひろびろとした いちめん 青(あお)いききょうの花畑(はなばたけ)なのでした。いったい 道のどこをまちがえたのでしょう(すぐ、ひきかえすんだ。)ぼくは、自分(じぶん)に命令(めいれい)しました。その景色(けしき)は、あんまり美(うつく)しすぎました。いい風(かぜ)が吹(ふ)いていて、花畑(はなばたけ)は どこまでもつづいていました。
 こしをおろしたぼくの目(め)の前(まえ)を、チラリと白(しろ)いものが走(はし)ったのです。子ぎつねでした。ぼくが見(み)うしなったとき、うしろで、へんな声(こえ)がしました。
  低学年から



野中 柊/作  姫野 はやみ/絵 理論社

 ヤマネコの家族(かぞく)は山に住(す)んでいます。みんな山の暮(く)らしが気(き)に入(い)っていました。ある日、おとうさんが、「海(うみ)を見(み)たくないか」と言(い)いました。上(うえ)の男(おとこ)の子(こ)ヤンも、妹(いもうと)のネネも、海を見たことがありません。「海にはウミネコがいる」とも言いました。ウミネコがいるなんて初耳(はつみみ)です。
 おとうさんは、好奇心(こうきしん)いっぱいのヤンとネネと海に出かけました。歩(ある)き続(つづ)けると、きらきら輝(かがや)く青(あお)が見えました。初(はじ)めての海は、大(おお)きく真(ま)っ青(さお)でした。そこへ、なにかが空(そら)から 飛(と)び去(さ)りました。「ウミネコだ!」おとうさんが言いました。羽(はね)があり、くちばしのあるウミネコがヤンたちの前にやってきて、「やぁ!」と叫(さけ)んだのです。
  中学年から



茂市久美子/作  黒井 健/絵 学研プラス

 高原(こうげん)の町(まち)の わき道(みち)にそれた林(はやし)の中(なか)に、アンティーク・シオンという骨董店(こっとうてん)があります。あるじは、魔女(まじょ)のような女性(じょせい)です。お店(みせ)のものは、あるじのシオンさんが 遠(とお)い外国(がいこく)を旅(たび)して、連(つ)れてきた品物(しなもの)です。木々(きぎ)が芽(め)ぶきはじめたころ、山(やま)の好(す)きな雅治(まさはる)さんが お店の前(まえ)を通(とお)りかかりました。そして店内(てんない)にある時計(とけい)に、はっとしました。子どものころに読(よ)んだ童話(どうわ)に出たような古(ふる)い大時計(おおどけい)だったのです。雅治さんは、時計を買うことにしましたが…。
 お店の骨董品(こっとうひん)に引きよせられる人たちの6つのお話です。どうやら、骨董品には不思議(ふしぎ)な力(ちから)があるようです。
  高学年から