平成27年11月号



アルビン・トレッセルト/文 えくにかおり/訳 ロジャー・デュボアザン/絵 ほるぷ出版

 きりきり きりかり きりぎりすが なきはじめると、霜(しも)がおりるまで 6週間(しゅうかん)といわれます。すずしい夜(よる)が ながくなります。 
こがねいろの小麦(こむぎ)は ゆたかにみのります。畑(はたけ)からは 刈(か)りとり機(き)の音(おと)がひびきます。
かえでは赤(あか)く、にれは金色(きんいろ)に そまります。
りすたちが 木(き)の実(み)をあつめて、あなにかくします。
子どもたちは 落(お)ち葉(ば)の森(もり)を あるきます。かがやかしい 秋(あき)の日(ひ)ざしのなかに 子どもたちの わらい声(こえ)がひびきます。
秋(あき)がたくさんつまった絵本です。
  えほん



こがしわかおり/作 小峰書店

 ツツミマスさんのおしごとは、なんでもつつむこと。だから、「ツツミマス」さん。
つつむってふしぎです。つつんで、あけるとなにかが、かわっているような、きがします。
あるあさ、ツツミマスさんのおみせに、トカゲのおきゃくさまが やってきました。「カタツムリのおみまいに つつんでほしい」と、トカゲのてのひらには、あさつゆがひとつ、きらきらかがやいていました。ツツミマスさんは、ふきのはと、こけで、あさつゆをつつみ、あじさいのはなをあしらいます。トカゲはえがおで、とんでいきました。つぎにやってきたのはゆきおとこでした。
ツツミマスさんのおしごとで、やさしいきもちになれるお話です。
  低学年から



ダイアナ・ウィン・ジョーンズ/作 野口絵美/訳 徳間書店

 マーシャとサイモンの家(いえ)に、ずっとむかしからしましまの生地(きじ)がはってある ぼろイスがありました。イスは、穴(あな)があき、茶(ちゃ)色(いろ)いつめものが、とびだし、しげみのようになっていました。
ある日、クリスタおばちゃんの青(あお)い玉から、イスに ぽたぽた魔法(まほう)の液(えき)がこぼれてしまいました。するとイスは、しましまの両腕(りょううで)、腕(うで)にはインクのしみがある、イス人間(にんげん)に変(か)わっていたのです。イス人間は、ぼろいすの、ボスと言(い)いました。
ボスは、マーシャとサイモンを食べたいと言いだし、あわてて二人は、料理(りょうり)を作(つく)るのでした。
注文(ちゅうもん)を出すボスにみんなはふりまわされます。
ボスをイスにもどせるのでしょうか。
  中学年から



末吉暁子/作 佐竹美保/絵 偕成社

 海の底にあるという水底(みなそこ)の国(くに)では、水の色は、もやがかかったように鈍(にび)色(いろ)にかすんでいる。
タマオは、この国では童女(どうじょ)だが、上(うわ)つ国(くに)の数え方では、十二,三歳(さい)にはなるだろう。うわさでしかきかない上つ国は、タマオのあこがれの地だった。
ある朝、タマオは、天海(てんかい)から落(お)ちてきた少年(しょうねん)をみつける。帝(みかど)だと名(な)のる少年は、大切(たいせつ)な宝剣(ほうけん)をなくしていた。
姫(ひめ)ウシオは、宝剣をくわえたイルカを見たという。タマオと水族(すいぞく)ギョイは、帝の少年、ウシオとともに、宝剣をさがす旅に出る。
「波のそこにも都(みやこ)はありましょうぞ。」
平家物語(へいけものがたり)をモチーフにえがく、わだつみの冒険ファンタジー。いざ水底の国へ。
  高学年から