愛甲 恵子/文 網代 幸介/絵 BL出版
昔(むかし)、ある村(むら)にアフマドというおちょうしものがいました。ある日、鍛冶屋(かじや)にいくと斧(おの)に「やり一本(いっぽん)で300もの敵(てき)をたおすアフマド」と字(じ)を彫(ほ)ってもらいました。でもアフマドは敵をたおすことはできません。村人(むらびと)たちはアフマドを「勇士(ゆうし)さま」とからかいましたが、毎日(まいにち)よぶので本当(ほんとう)の勇士のように思(おも)えてきました。「勇士アフマド」のうわさは村から村へつたわり、ついに王さまの耳(みみ)にはいりました。王さまはとなりの国にせめこまれてこまっていたのです。
いとう みく/作 かのう かりん/絵 理論社
あたらしいともだちのこてんちゃんがやってきました。せなかにはねがあり、げたをはき、葉(は)っぱのうちわをもっています。はなしかたや、げたの音(おと)をたてたりと、こてんちゃんはちょっとえらそうにみえました。つくえはぼくのとなりです。あくびをしたりそとを見(み)たり、こてんちゃんはせんせいのはなしをきいていません。とつぜんこてんちゃんがぼくのてをにぎりました。「あくしゅはともだちになるためのぎしき」とおしえてくれました。ぼくはこてんちゃんとともだちになったのです。
「子ねずみウォルターはのんびりや」
マージョリー・フラック/作・絵 おびか ゆうこ/訳 徳間書店
昔(むかし)、ウォルターという名前(なまえ)の子ねずみがいました。ネズミ村(むら)の大きな家(いえ)で家族(かぞく)とくらしていました。ウォルターにはお父さん、お母さん、五ひきのお兄さん、六ぴきのお姉さんがいて、みんなはたらきものでした。ウォルターだけがのんびりやで、何(なに)をするのも時間(じかん)がかかりました。ある春(はる)の日、ウォルターが学校から帰(かえ)ると、うちの中のものが何(なに)もありません。家族はウォルターをおいてひっこしをしていたのです。
「ゴロゴロヤマネコ不動産」~なんだかあやしいおすすめ物件~
藤重 ヒカル/作 樋口 モエ/画 福音館書店
不動産屋(ふどうさんや)さんは、家(いえ)やお店(みせ)を売(う)り買(か)いしたり、貸(か)したりするのが仕事(しごと)です。ある日、ぼくはヤマネコ不動産から「かさ屋にぴったりのお店があります。家賃(やちん)は格安(かくやす)、ただし条件(じょうけん)あり」という封筒(ふうとう)を受(う)けとります。かさ職人(しょくにん)のぼくは自分(じぶん)でお店をもつことが夢(ゆめ)でした。なぜぼくのことを知っているのかあやしいと思いましたが、こっそりお店を見にいきました。すると、「ゴロゴロ」と声(こえ)がして手紙をくれた猫山(ねこやま)さんが立っていました。