興味深い研究論文が発表されました。図書館の蔵書数が多い自治体ほど、要介護高齢者が少ないというのです。慶応大と京都大の研究者が共同で7年間追跡調査したもので、関係者の注目を集めています。
分析の結果、図書館の蔵書が人口当たり1冊(1万人の町なら1万冊)増えると、その地域の高齢者の要介護リスクが4%減少するという相関関係が確認されました。あくまでも相関ですので、因果関係を立証するものではありませんが、図書館やその蔵書の充実が健康長寿のまちづくりに有効である可能性を示しています。
図書館は、市民が文化的な活動に参加するための大切な社会資本で、市民に対して知的な刺激を提供する役割を果たしています。しかも無料で利用できますので、高齢者が毎日出かけることで身体活動を促すこともできます。さらなる研究が待たれますが、図書館の有用性が、また一つ明らかになろうとしています。
(統括管理者 鴻上哲也)
<佐賀新聞 令和7年9月25日付「いすの木のもとで」より>