図書館と音 音楽や会話 本と人つなぐ

 図書館といえば、静かな場所というイメージがあります。確かに、静けさは本と向き合い、自分の考えを深めるために欠かせない環境の一つです。しかし、伊万里市民図書館では30年も前から、静寂だけにとらわれない図書館づくりを続けています。

 館内にはやわらかなBGMが流れ、ピアノが置かれた子ども開架室では小さなコンサートが開かれることもあります。こうした試みは開館当初から続くもので、音楽や会話を通して本と人がつながる温かな空間づくりを目指してきました。

 一方で、静けさを求める方のために、完全静粛エリアも設けています。静けさとにぎわい、そのどちらもが図書館を豊かにしてくれます。言葉と音、孤独と出会いが調和する場所。そこにこそ、これからの「知の広場」の姿があるように思います。

(統括管理者 鴻上哲也)

 

<佐賀新聞 令和7年10月23日付「いすの木のもとで」より>