『読んでばっか』 | |
江國 香織/著 筑摩書房 タイトル通り、本を読むことばっかりしているという著者の、読書の喜びと本への愛情に溢れた一冊です。何より、取り上げられている本のジャンルが小説・詩・絵本からミステリーまでと幅広い!しかも、今まで自分が読んだことのない本には好奇心をそそられますし、読んだことのある本が出てくると、著者と感想を交流しているようで楽しくなります。直木賞はじめ数々の文学賞を受賞している文章の名手だけに、紹介文そのものが単なる読書案内ではなく珠玉のエッセイです。まさに「読んでばっか」いる方、お待たせいたしました。 (T.K)
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『帆立の詫び状 おっとっと編』 | |
新川 帆立/著 幻冬舎 (A.K)
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『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』 | |
三宅 香帆/著 集英社 読書が大好きだったのに、気付いたら最近全然本を読めてない…。読書好きの大人が陥りがちのこの事態。本を読むために会社勤めを辞めた著者が、日本の労働環境にメスを入れます。 社会人が本を読めないなら、これまでの日本人はいつどのような本を読んでいたのか。明治時代から現代まで順にさかのぼり、当時の社会情勢やベストセラーから、労働と読書の関係を紐解いていきます。立身出世のための読書から、知識を得るため、自己啓発のため。時代によって人々が読書に求めるものは様々です。では現代人は読書に何を求め、どうすれば働きながらでも本が読めるのかを探ります。 働きながら本を読むコツも掲載されている、読書を続けたい社会人に贈る一冊です。 (A.S)
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『海賊の日常生活』 | |
スティーブン・ターンブル/著 元村 まゆみ/訳 原書房 海賊といえば映画やアニメーションにも取り上げられ、誰にも束縛されず自由気ままに生きているという印象があります。しかし、本の中で紹介されている船上での様子を見てみると、歴史上の海賊は厳しい環境の中で、常に命の危険を感じながら過ごしていたことが伝わってきます。さらに海賊の必需品にも注目して、それぞれ目的や用途も詳しく載っています。また、海賊の本分である海での戦いに加え、実は陸での戦いも多かったことが記録されています。ヨーロッパやカリブ海で活躍した海賊がよく知られていますが、日本の倭寇も登場していますので、海賊のリアルに近づける貴重な一冊となっています。 (K.S)
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『老いの深み』 | |
黒井 千次/著 中央公論新社 (Y.K)
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『国道沿いで、だいじょうぶ100回』 | |
岸田 奈美/著 小学館 車いすユーザーの母と知的障害のある弟、そして著者の3人からなる岸田家。弟がカレンダー作りで大金を稼いだり、怪しい病院で注射を打たれたり…。ハプニングが絶えない家族の日常が、軽妙な文章で愛情たっぷりに綴られています。その愛のある目線は家族以外にも向けられ、他者への想像力を持つことの大切さも強く感じさせてくれます。 だいじょうぶじゃない日々も、祈りのような「だいじょうぶ」を重ね、いつかだいじょうぶになっていく。笑いと涙とともに、そんな確信を持たせてくれるお守りのような厳選エッセイです。 (Y.M)
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