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おすすめの本
No.765  令和6年7月
『100年学習時代』   『死なれちゃったあとで』
 本間 正人/著  BOW BOOKS

 

著者はアクティブラーニングやコーチングを長年実践してきた人です。「生涯学習」という言葉は聞きなれてきましたが、1990年に生涯学習振興法が制定されたときは、その定義すら抽象的で、だれも良くわからないままに漠然としたイメージに踊らされていました。もし、その時にこの本が出ていたら、今の教育界は大きく変わっていたかもしれません。教育学という学問はありますが、著者の提唱する、学習する側から政治や経済・学校や地域等を考える「学習学」という発想はなかったからです。視座を変えると、同じことでも全く違って見えてくるものです。

(T.K)

 前田 隆弘/著  中央公論新社

 

 著者が体験してきた友人や肉親、仕事で出会った人の死に関するエピソードを綴っています。後輩の自殺。事故死した父。10年近くの入院の果てに101歳で往生した祖母。

センシティブなテーマであるにも関わらず、思うまま、フラットに書かれている文章は、だれにでも起こりうる「喪失」を砂地に水が染み込んでいくように読み手の中に入れていきます。「死なれちゃった」としか言いようのない喪失感の中で、生きている人間は何ができるだろう。もっと故人の話をしよう。くだらないことも、情けないことも。そんな祈りのような一冊です。

(Y.M)

『空海と密教 解剖図鑑』 『カウンセリングするつもりじゃなかった』
 武藤 郁子/著  エクスナレッジ 

  

弘法大師・空海。けた外れの天才であり、密教の奥義を究め、中国から日本へと伝来させた人物です。その教えは日本文化に溶け込み、今もなお多くの人々を魅了しています。

 その空海の教えを紐解いてみると、自分のことや世界のこと、わからなかったことを解明する“カギ”となる…というのです。

 深遠秘奥な教えである「密教」の世界。万華鏡のような魅力と、多様さ果てしなさを肌で感じてください。

(Y.N)

 
 久保 ミツロウ・能町 みね子・ヒャダイン/著  
扶桑社

 トーク番組でおなじみの3人がゆるーく、時には鋭く、自分の思いや経験を語りつくします。ドラマについての雑談から、運命の分岐点とは?という壮大な話まで、独特なテンポで進む会話が愉快でどこか心地良く、読者も3人の輪の中に入り会話を楽しんでいるような気持ちになります。

 誰しもが抱えている、声にするほどでもない心のキズに優しく手を当ててくれる、温かい読後感で満たされる1冊です。

(A.K)

 
『カフカふかふか とっておきの名場面集』 『精神科医が教えるずぼら老後の知恵袋』
 下薗 りさ・木田 綾子/監修  白水社  

 

今年、没後100年になるフランツ・カフカは、ユダヤ人のドイツ語作家兼役人です。カフカの作品は戦後評価されて、二十世紀の古典とも呼ばれています。本書は、カフカの作品に魅了された研究者たちが「ここは読んでほしい!」と思うとっておきの場面と、それをどう読んだのかを紹介しています。紹介は引用された一文から始まり、その後に研究者による解説が入ります。カフカ作品は、作品ごとに元軍馬の弁護士や断食芸人など、魅力的なキャラクターが登場します。

カフカの謎めいた世界観に引き込まれる一冊です。

(S.M)

 保坂 隆/著  きずな出版  

 

家事も運動も人間関係も、老後は“ずぼら”でちょうどいい!頑張りすぎて疲れてしまう人にこそ薦めたい一冊です。

重い買い物は宅配してもらったり、我慢を続けず助けを求めたり、「今までたくさん人を支えてきたんだから、これからは支えてもらおう」と考え方を切り替えることが重要だと著者は語ります。

シニア世代はもちろん肩の力を抜きたい人への、生き方のヒントやプチ健康法が満載の、のんびり生活指南書です。

(S.S)