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おすすめの本
No.764  令和6年6月
『外来種は悪じゃない ミドリガメのための弁明』   『お父さんのための言いかえ図鑑』
 伊地知 英信/著  草思社

 

ミシシッピアカミミガメやカミツキガメ、ブラックバスなど外来生物として知られる生物たち。最近ではメディアでも外来種が在来種を脅かし、生態系を壊す存在として取り上げられています。

本書では、「外来生物を悪者、在来生物は良い存在」という社会の風潮に疑問を抱いた著者が、動植物が外から持ち込まれ、外来種といわれるようになった歴史的経緯をたどりつつ、外来種の存在意義、新たな自然との向き合い方などを提唱しています。

人の都合で外から持ち込まれたり、捨てられたりして外来種となった生物と共に暮らせる自然こそが本来の自然の姿だと一石を投じています。

Y.O
 大野 萌子/著  笠間書院

 

 「またやったの?」「わかったわかった」「普通はさ~」そんな言葉、何気なく使ってしまっていませんか?日常生活のなかで使いがち、だけど相手をモヤモヤさせてしまう言葉の数々。言いたいことは伝えつつ、相手の気持ちにも寄り添えるような伝え方を、公認心理士の著者が指南します。
 例えば「〇〇しといてあげるね」を「○○しておくね」と言いかえるだけで、“本来は自分の仕事ではないけど手伝ってあげる”という他人事感覚に当事者意識が生まれます。
 時代とともに男女の役割も変化している現代。夫や父親だけでなく、女性や親子、上司部下のコミュニケーションにも参考になる一冊です。

S.S
 
『気づいたら、親と同じことをしている』 『六色の蛹』
 成田 奈緒子/著  幻冬舎 

  

子育て中の人は自分が親から受けた子育てと同じことを無意識に子どもにしている、と筆者はいいます。子どもの価値観は親の価値観とは違うはずなのに不思議ですね。

子育ての不安はどこから生まれているのか?子育ての悩みの正体は何なのか?親も子どももラクになる子育て法とは?親の価値観を離れて考えることの大切さが伝えられます。

親との距離のとり方から、子どもの「脳育て」メソッドまで、1万人以上の家族を救ってきた発達脳科学者である著者から学びませんか。

M.H
 櫻田 智也/著  東京創元社  

 

 魞沢(えりさわ)は「へぼ獲り」の最中に、ハンターである梶川の遺体に遭遇します。「へぼ獲り」とは、クロスズメバチに白い紙をぶら下げ、その目印を追跡して巣を見つける、という伝統行事です。遺体の腰には白いタオルが、まるで「へぼ獲り」のように下がっていました。視界の悪い山では鹿の尾と見間違えることがあるため、タオルを体に下げることはご法度。さらに、以前この山では誤射事件が起きたこともあり、ハンターである梶川がこのことを知らないはずがないのです。なぜ、事件は起きてしまったのか。誤射?それとも…。

ミステリーながらも最後には心がジーンとする、全6編の短編集です。

A.K
『日本のしきたり 暮らしを整える』 『日本文房具クロニクル』
 山口 謠司/監修  きずな出版  

 

お正月や節句、慶事の贈り物、弔辞の作法など、季節の移り変わりや人生の節目には「しきたり」があります。漢字で「仕来り」と書きますが、皇族や貴族がこれまでしてきた古式に則って行事を行っていくということを意味するといわれています。

便箋や封筒の正しい使い方、快気内祝いに送る品など、人生を豊かにしてくれるしきたりがたくさん紹介されている本書。現代はさまざまな儀式が簡素化されている時代ですが、古代から続く「しきたり」を大切に生活したいものですね。

(A.S)
 辰巳出版  

 

日本で生まれた時代時代に愛されている代表的な文房具が、明治から平成まで年代別に紹介されています。カラー写真と共にその文房具の誕生秘話や機能性など、誰かに話したくなるような豆知識が惜しげもなく掲載されています。

本書に「小学校に入学すると文房具との付き合い方が密になる」と書かれているように、自身が小学生だった時代のページで懐かしさに溢れ、手が勝手に止まりました。

 様々な世代が文房具を通してひとつになれる一冊です。
Y.M