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おすすめの本
『「本」とともに地域で生きる』  
 南陀楼綾繁/著 大正大学出版会

 大正大学が、「地に生きる、地を生かす」の理念のもと、地域創生に資する本を出版したものです。著者は、「一箱古本市」の生みの親で、本を愛してやまないライターの南陀楼綾繁。その名に反して中身は全く怪しくなく、日本各地の本屋・図書館・ローカルメディアを厳選して紹介しています。全3章のタイトルが、「本屋:自分自身に帰る場所」 「図書館:郷土の「知」を未来に手渡す」 「ローカルメディア:小さくても届く言葉」です。ほら、これだけで読みたくなったあなたは、まちがいなく一流の読書人です。
(T.K)
『日本漢字全史』

 沖森 卓也/著 筑摩書房

 日本人はひらがな・カタカナ、そして「漢字」という複雑な言語を使いこなしています。ひらがな・カタカナは表音文字といい、平安時代初期に漢字から作られました。では、それ以前は日本固有の文字があったのでしょうか。

 訓読みと音読みの成立や部首の由来、教育における常用漢字の広がりなど、日本文化の変遷を辿りながら、漢字について紐解いていきます。普段から当たり前に使っている「漢字」ですが、長い歴史とその重みを改めて感じる1冊となっています。

(A.K)
『日本の肉じゃが世界の肉じゃが』

 阿古 真理/著 新星出版社

 肉じゃがといえば「昔ながらのおふくろの味」というイメージを持つ人も多いのではないでしょうか?しかし肉じゃがの歴史は案外新しく、その誕生にも諸説あります。

 この本は、そんな肉じゃがが何故おふくろの味として定着したかを解説し、今昔の肉じゃがレシピを比較することで、日本の食生活の変遷にも焦点を当てています。また、じゃがいもと肉を煮込んだ世界の料理にも注目していきます。

 食文化の解説書でありながら、掲載されているレシピの総数は実に44!古今東西多彩で奥深い肉じゃがの世界に飛び込んでみましょう。

(S.S)
『11ミリのふたつ星 視能訓練士野宮恭一』

 砥上 裕將/著 講談社

 前作『7.5グラムの奇跡』から少しずつ成長していく視能訓練士の姿を描きます。今回彼の前に現れたのは斜視のため、片目ずつしか見ることができず、物を立体的に見ることができない4歳の女の子。彼女の眼の訓練を通して仕事への向き合い方を学んでいきます。

 作中の「でもね、儲からないとわかっていても、プロとして誰かがやらないといけないことはあるんです。仕事ってそういうものだと思うんですよ。」という言葉が胸を打ちます。自分の仕事をやる。という大変さと喜び。読んで味わってみてください。

 (Y.M)

『行成想歌』

 佐藤 雫/著 光文社

 時の帝、一条天皇とその妻、中宮定子。ふたりは、お互いを想いながらも悲しい運命を辿るのでした…。

 藤原行成は、一条天皇にその人柄を認められ蔵人頭に任じられます。側近として見た帝は、誰よりも純粋で孤独なひとりの少年。多くの苦悩を抱え自分を律し、正しい判断を求められ続けます。そんな帝の横には、桜のような笑顔で支える、定子がいました。しかし運命の荒波は二人を引き裂き、引き返せないほどの大きな溝を作ったのです。

 藤原行成との深い信頼を背景に、夫婦の愛を細やかに描いています。

(Y.N)
『金利の歴史』

 平山 賢一/著 中央経済社

 本書はモノとカネの関係の歴史を明らかにするために、著者が重要と考える歴史上の出来事を主軸に「金利の歴史」を30項目取り上げています。

 古代のメソポタミア期から現代のマイナス金利解除までの歴史をもとに、今の金利について考えていきます。世界パートと日本パートに区分されており、事象についての説明や参考資料が本文下に記載されているため、より金利史への理解を深めることができます。金利史の謎を解き明かしていく一冊です。また、モノやサービスといった物価指標であるインフレ率に軸足を置いた姉妹書『物価の歴史』もおすすめです。

(S.M)