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おすすめの本
『スターゲイザー』  
 佐原 ひかり/著 集英社

 アイドルとしてのデビューを目指す「リトル」と呼ばれる練習生たち。毎年恒例となった公演「サマーマジック」の楽屋では、「次のデビューは誰だ」という話題で持ち切りでした。20歳を越えて人生の岐路に立ち、長い練習生生活の後、夢を諦める者も少なくありません。プライベートを犠牲にして、自分の心をすり減らしてまでも、デビューすることが正解なのか、答えは出ないまま無情にも時は過ぎてゆきます。
 一編ごとに語り手が変わり、様々な事情を抱える6人の視点から物語が描かれます。ぶつかりながらも互いに認め合い成長する彼らの眩しさがあふれる青春小説です。
(A.K)
『子どもは「この場所」で襲われる』

 小宮 信夫/著   小学館

 家の中でも襲われる凶悪事件が頻発する時代、子どもに対してどのように防犯を教えていけばよいのでしょうか?犯罪者は、暗い道に怪しい格好で隠れているのではありません。むしろ、明るい道を普通の身なりで歩いているのです。だから、人を外見で判断することを教えるのではなく、そこが危ない場所であるかどうかを判断できるようにすることが、子どもを犯罪から遠ざけるのに有効だと著者は言います。この本の中で何度も出てくるキーワードは「入りやすく、見えにくい場所を避ける!」です。この視点で、近くの通学路や公園を見直すと、新たな危険と対策の必要が見えてくるようです。ぜひ、ご一読を。

(T.K)
『70歳からの手ぶら暮らし』
 松原 惇子/著  SBクリエイティブ

 老後の不安といえば、貯蓄や生きがい、孤独感や家のこと…。老後は楽しく過ごしたいけれど、誰もが一度は頭をよぎるこの心配。おひとりさまを貫く77歳の著者が、軽やかに生きる女性たちを取材しながら、老後を元気に過ごすコツを伝授します。
 貯金ゼロだけど、本人の人柄から周囲の人々に慕われ、支えられて生きる90歳。低収入でも大好きな経理の仕事を現役で続ける91歳。人それぞれの人生を生きながらも、毎日を笑顔で生きる喜びに気付ける一冊です。
(S.S)
『宿帳が語る昭和100年』
 山崎 まゆみ/著  潮出版社

 日本が誇る温泉文化に最も触れることができる湯宿は、昭和初期から文化芸術の支援を行い、文化人たちの創作の場でした。また、政治家や昭和の大スターなど、多くの著名人たちが愛し、親しんだ宿は彼らとの思い出が詰まった場所でもあります。そんな宿の主人や女将たちが昭和を飾った著名人たちのエピソードを語っています。
 映画「男はつらいよ」シリーズ42作目の「ぼくの伯父さん」は佐賀が舞台になり、そのロケの宿泊先となった古湯温泉での寅さんこと渥美清さんの素顔も紹介されています。
(Y.O)
『ナチュラルボーンチキン』

 金原 ひとみ/著  河出書房新社

 主人公の浜野文乃は、毎日同じ時間に出勤退勤し、同じようなご飯を食べては動画を見るというルーティン生活を送る45歳の事務職員。ある日、上司の命令で在宅勤務ばかりしている平木直理の家へ行くことになりました。自宅へ行くとホストクラブの領収書があり、シャンパンと生ハムを食べながら仕事をしていたのです。しかし、自分とタイプの違う平木と関わることによって次第に忘れかけていた本当の自分を思い出すことになります。
 日常生活の中に、刺激を取り入れることが自分らしく生きることに繋がっているのではないかと感じる物語です。

(A.S)
『こんにちは!ひとり暮らし』

 みつはし ちかこ/著  興陽館

 80代の著者に起こるひとり暮らしでの出来事や悩み事をクスっと笑える文章で書かれています。友人が連れてきた赤ちゃんとの葛藤や、白髪を染めるべきか悩む著者。おむすびには初恋の淡い思い出が…。今は思い出となった大切な人達が日々の中にいつもそばに居るようで、ホッコリしながら読み進められます。
 60年以上漫画家をされている著者の文章表現は、何かが起こりそうでワクワクさせてくれる情景に始まり、最後に笑わせてくれるところは「さすが漫画家さん!」と唸らされました。著者の固い決心が感じられる一節もあり、人生を見せてもらったような贅沢な一冊です。

(Y.M)