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おすすめの本
『北朝鮮に出勤します』  
 キム ミンジュ/著 岡 裕美/訳  新泉社

 2004年に開業した開城(ケソン)工業団地は、北朝鮮にある南北朝鮮が共同で建設した大規模工業団地です。栄養学を学んだ著者は2015年に韓国の給食関連会社に就職しましたが、開城にも事業展開をしていたことから、休戦ラインを越えて北朝鮮に出勤することになりました。毎週1時間程バスに乗って通勤し、職場に着くまでには厳しいチェックを受けて、職場での厳粛な雰囲気の中で仕事を行い、週末にバスで戻る生活です。しかし1年後に開城工業団地は突然操業を停止。翌日から北朝鮮へ通うことができなくなりました。
 韓国と北朝鮮の人々が同じ言葉を話し、交流した貴重な様子をこの本は描いています。
(K.S)
『人は本に育てられる』

 坂東 眞理子/著   幻冬舎

 内閣府初代男女共同参画局長や昭和女子大学総長を務め、ベストセラー『女性の品格』を世に送り出した著者が、幼少期から現在に至るまでの人生とともに、その時代に読んできた本に触れていきます。幼少期は面白そうな本をひたすら読み漁り、社会人となってからは異動のたびに変わる業務の知識を本から学んでいたという著者。国家公務員の激務と子育てに奔走する中で、通勤電車での読書が至福の時間だったといいます。その膨大な読書量と知識の深さには圧倒されます。
 「男は仕事、女は家事育児」が当たり前だった時代にキャリアを積み重ねた著者が、「私の人生は本なしでは存在しませんでした」と語る、本とともに歩んできた人生を覗いてみましょう。

(S.S)
『読図の基本がわかる本』
 水野 隆信/著  山と溪谷社

 スマートフォンやカーナビの普及により紙の地図を使う機会が減りましたが、地図を読む「読図」は、被災時など通信機器が使えないときの備えとしても役に立つ技術です。
 この本では、等高線から地形をイメージしたり、コンパスをつかって位置を把握したり、基礎から実践テクニックまで、必要な技術を丁寧に解説しています。一見難しそうですが、ポイントを押さえれば初心者でも大丈夫。「いきなり読図はハードルが高い…」という方にもおすすめの、すぐに使える地図アプリも紹介されていますよ。
(A.K)
『ニッポンはおいしい!』
 金丸 弘美/著  理工図書

 農業・農村も高齢化が進み、担い手不足や人口減少の問題が取り上げられるなか、 著者が探した各地方のユニークな実践をする女性たちを紹介しています。
 有機野菜との出会いから、食べる大切さを実感し、新規就農と農村の架け橋となり朝市を運営している女性。各地方の農家民宿・宿泊施設、レストランと繋がり、発信できるサイトを作り、旅から食文化を伝えたいと頑張っている女性。その他にも女性の活躍が綴られています。消費者目線で、地域の経済と雇用をよくしようとする強い思いが伝わる一冊となっています。
(Y.K)
『なぜ罪に問われた人を支援するのか?』

 掛川 直之/編著  旬報社

 人はなぜ犯罪行為に至ってしまうのでしょうか。犯罪の入り口に簡単にアクセスできてしまう闇バイトが社会問題となっている今、私たちも他人事と思ってはいられない問題です。
 本書では、罪に問われた当事者とその支援者たちの生い立ちなどを含めた赤裸々なインタビューがまとめられています。〈犯罪者〉は最初から〈悪い人〉なのか、それともチャンスを与えられなかった私たちなのか。遠い世界のことだと思っている人も、彼らの生活史と自分の人生を重ねて見えてくるものがあるかもしれません。犯罪加害者支援を考える一歩目として大切な視点を与えてくれる一冊です。

(Y.M)
『中東危機がわかれば世界がわかる』
 中川 浩一/著  幻冬舎

 イスラエルとパレスチナの紛争は完全に泥沼化し、毎日のニュースを胸つぶれる思いで見ている私たちは、中東のことをどれだけ知っているでしょうか。著者は、エジプト、イスラエル、ガザなどの在外公館に勤務経験のある外交官出身のビジネスコンサルタントです。中東問題というと複雑さが先に立って敬遠しがちですが、著者は現在の中東を戦争のイメージだけで捉えるのは誤りだと明言します。中東が世界のビジネスの中心地であり、先進国がこぞって進出する中、日本は遅れを取っているとの指摘も驚きです。歴史や国際政治の文脈だけでなく、現在のリアルな情報をもとに世界の潮流を考えてみませんか。
(T.K)