予約について
 
おすすめの本
No.771 令和6年9月
『帰る家がない少年院の少年たち』  
 中村 すえこ/著  さくら舎

 罪を犯し、少年院で更生を目指す少年たち。かつて女子少年院に入っていた経験をもつ著者が、少年たちが犯罪に手を染めたいきさつや現在の心境などを聞きとっていきます。
 両親に虐待され続け非行グループが居場所だった者、普通の家庭に育ちながらも友達を守るため犯罪から抜けられなくなった者。様々な背景を持ちながらも、逮捕された時に「もう悪いことしないですむ」と感じたという少年の言葉は印象的です。
 少年犯罪が社会問題となって久しい昨今。一人の人間である彼ら自身を知り、その思いに触れてみませんか。
(S.S)
『しっぽ学』

 東島 沙弥佳/著  光文社

 ヒトの祖先は“しっぽ”を持っていたとされています。ではなぜ、祖先が同じはずの猿にはしっぽが残り、ヒトのしっぽは退化していったのでしょうか。
 動物にとってしっぽはどのような役割を持っているのか、気持ちを表現するため?方向感覚を掴むため?体勢を保つため?様々な役割と仕組みについて、しっぽの歴史を辿りながら解説します。現代人の中にもしっぽのようなものを持つ人間がいるとかいないとか…。
 著者の溢れるしっぽ愛とユニークな語り口で、楽しくヒトとしっぽの歴史を知ることができますよ。

(A.K)
『いのちの芽 詩集』
 大江 満雄/編  岩波書店

 1953年に刊行された、全国8カ所のハンセン病療養所にいる73人からなるアンソロジー詩集『いのちの芽』。これまで絶版となり幻の詩集と言われていましたが、発刊から70年を迎えた2023年にこの詩集をテーマにした企画展が国立ハンセン病資料館にて開催され、そこで非売品として復刊。そして刊行から71年たった2024年に初めて文庫化されました。隔離政策への憤り、家族への思い。様々な思いが込められた詩は時がたった今も胸を打ちます。
(Y.M)
『ビールは泡ごとググッと飲め 爽快苦味の63編』
 早川 茉莉/編  筑摩書房

 電車の中でみかけた、読書しながら缶を空けた人。明るいうちから飲むのなら、蕎麦屋に限ると思うこと。父親の七回忌で、ビールとともに思い出が蘇ってきた時。
 ふとした瞬間や人生の節目に、ビールはさまざまな物語を彩ってくれます。味わい深く、懐も深く、そこにはいつも、笑いがありました。
 時間も場所も相手もさまざま。そんなビールにまつわる、黄金色の魅惑に満ちたアンソロジー。
 ついつい喉がなる、一冊です。
(Y.N)
『世界中の翻訳者に愛される場所』

 松永 美穂/著  青土社

 著者による、ドイツ・シュトラーレンでの体験記。特定の職業の人が一定期間どこかに滞在して作品を創ったり、地域の人たちと交流したり、講演会や授業を行ったりするレジデンス制度で、著者はドイツの西の果て、オランダ国境に近いシュトラーレンの「翻訳家の家」に滞在しました。他に滞在している人たちも翻訳者、あらゆる分野にわたる参考文献がある図書室もあり、廊下の途中や部屋の本棚にはこれまで滞在した翻訳者から寄贈された書籍が並ぶ、翻訳者の拠点。そこで出会った人々との交流や滞在時に訳していた本、翻訳とは何なのかについて綴っています。

(S.M)
『ちゃんと知りたいペットのお薬のこと』
 金田 寿子、山口 登志宏/著 金田 剛治/監修   緑書房

 人間の薬以上に分からない、ぺットの薬のことで不安になる飼い主も多いでしょう。
 本書では、獣医師である著者たちの経験と、大学で講義している内容を中心に、ペットの薬について分かりやすく解説しています。動物病院ではじっくりと聞けない自宅での投薬方法や、予防薬、治療薬などイラスト付きで質問と回答形式でまとめられています。また、動画でも確認ができるようになっています。いざという時に知っておくと安心の一冊です。
(C.T/J)