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おすすめの本
No.769 令和6年8月
『ルポ スマホ育児が子どもを壊す』  
 石井 光太/著  新潮社

 現代の子どもは「AIネイティブ」と呼ばれ、生まれた時からSNSやAIが存在する環境で育っています。しかし、その子ども達の人格がどのように形成されていくかは、まだ分かっていません。そこで、著者は独自に教育関係者200人以上にアンケートやインタビューを行いました。その結果、20~30年前の環境とは全く異なることが見えてきました。自由に遊んでいいのに、公園で立ちすくんでしまう保育園児、ゼロか百かの極端な思考の中学生、半数がネット依存傾向で、コスパやタイパを重視する高校生。このような事実を受け止め、自立した大人になるための総合的な力をいかに育むかが、これからの大人の役割だと、著者は警鐘を鳴らしています。
(K.S)
『定年自衛官 再就職物語 セカンドキャリアの生きがいと憂うつ』

 松田 小牧/著  ワニ・プラス

 近年、年金受給開始年齢が年々引き上げられつつあります。そんな中、この本でスポットが当てられたのは”自衛官”です。ほとんどの自衛官は、50代半ばで定年を迎え、民間でセカンドキャリアの道を歩むこととなります。
 メディアで紹介される“元自衛官”は、数人の超エリートたちのみ。では、大多数の“元自衛官”たちはどうしているのでしょうか。大企業顧問で「仕事なし」の元陸将、まったくつぶしがきかない元戦闘機パイロット、定年前から準備をすすめて農家に転身した元3尉。決して明るいばかりではない退職自衛官たちの物語が、この1冊に詰まっています。

(Y.I)
『自分とか、ないから。 教養としての東洋哲学』
 しんめいP/著 鎌田 東二/監修  サンクチュアリ出版

 東洋哲学についてどんなイメージを持っていますか?仕事や家庭を失い虚無感でいっぱいの時期に、この哲学に出会った著者は『とにかく生きるのが楽になるための哲学』と語ります。自分なんてないし、この世はフィクション。ありのままが最強だし、欲があってもいい。難しそうなイメージとは裏腹に、肩の力を抜き気持ちを楽にしてくれるものなのです。本書はそんな東洋哲学についてくだけた文章で紹介し、友人と話すような気軽さで読ませてくれる、入門書にぴったりの一冊です。これをきっかけに東洋哲学の思想をより深く知りたくなるかもしれません。
(Y.M)
『I am a Dreamer 最速で夢を叶える逆境思考』
 小田 凱人/著  KADOKAWA

 プロの車いすテニスプレーヤーである小田凱人。18歳にして、テニスの世界四大大会のうち3つを制し、パリパラリンピックに出場するなど、世界で活躍しています。そんな彼の夢は「子どもたちのヒーローになること」。なりたい自分を常に思い描きながら、日々努力を重ねています。
 やりたいことを決断する力や、負けに向き合う姿勢など、彼ならではの夢を掴むための考え方を紹介します。わがままな自分をさらけ出しながら、前に進む彼の姿に勇気が貰える1冊です。
(A.K)
『蔦屋重三郎と田沼時代の謎』

 安藤 優一郎/著  PHP研究所

 2025年の大河ドラマの主役・蔦屋重三郎がどんな人物か知っていますか?吉原に生まれ、一代にして江戸の出版界を牽引する存在となった重三郎は、喜多川歌麿・東洲斎写楽の才能を見出し、ベストセラー作家も多くプロデュースしていきます。
 また、彼が生きた時代は、ともに一代で権力者となった田沼意次が政権を握る時代でもありました。時の権力者と、江戸のメディア王。同時代に生きながらも、生涯相まみえることがなかった2人の栄枯盛衰を辿ります。

(S.S)
『がんになってわかったお金と人生の本質』
 山崎 元/著  朝日新聞出版

 投資・経済評論家である著者は、2022年の夏、食道癌が見つかりました。癌の病気を自分の環境と比較した際、投資とよく似ていると気づき、病気の治療を含めたお金との関係を私たちに教えてくれます。お酒が大好きで特にウィスキーを好んできた著者も、病気がわかってから一切飲まず真面目な癌患者になったこと。がん保険は本当に必要か?お金よりも大事なものにどうやって気づくか?など、現実的な課題の解決方法をくわしく解説し、私たちに鈍感ではいけないと教えてくれる一冊です。
(Y.K)