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おすすめの本
No.768 令和6年8月
『10代を支えるスポーツメンタルケアのはじめ方』  
 小塩 靖崇/著  大和書房

 本書は、部活動の先生、コーチ、選手の保護者など、スポーツに取り組む子どもや若者の周囲にいる大人の方へ向けた本です。アスリートは屈強な身体で強靭な精神を備えているため、強いアスリートはメンタルヘルスの不調とは無縁だ、というイメージを抱く人もいるかもしれません。しかし、実際には、多くのアスリートがメンタルヘルス不調を経験し、苦しんでいます。
 著者は、スポーツを頑張る子どもたちを支えるためには、何よりも心地よい環境づくりが欠かせないと言います。「子どもはスポーツの楽しさを感じているか」「どこまで頑張らせていいか」このような悩みを持つ方が、どのように子どもたちと接し、指導あるいは応援するとよいかを、「メンタルヘルス」の観点から考えていきます。
(S.M)
『シェルパ斉藤の山小屋24時間滞在記』

 斉藤 政喜/文・写真 神田 めぐみ/イラスト  山と溪谷社

 バックパッカーである著者は、これまで日本中の山に登ってきました。登頂に欠かせないのが休憩と宿泊ができる「山小屋」。風の音を聞きながら、朝日を浴びながら、雲海を見ながら…自然に囲まれた山小屋での寝食は魅力に溢れています。この本ではそんな全国145箇所の「山小屋」を、旅の宿としてご紹介します。大分県の「法華院温泉山荘」は九重山に位置しており、洋酒のボトルや貯金箱のコレクションなど、主人のこだわりが詰まった山小屋です。通年営業しており温泉にも入れる、たいへん人気のスポットとなっています。
 臨場感たっぷりのフルカラーイラストで山小屋へ行った気分になれますよ。

(A.K)
『もしキミが、人を傷つけたなら、傷つけられたなら』
 犯罪学教室のかなえ先生/著  フォレスト出版

 著者は、元少年院の法務教官。体も心も成長途中の10代に対して、犯罪や事件の被害者にも加害者にもならないための対処法を、「犯罪学」の視点から具体的に解説した教育書です。「知識があれば防げたことがたくさんある」というのが、多くの少年と関わってきた著者ならではの実感。子どもだけでなく保護者も一緒に読んで話し合えば、私たちの身の回りにたくさんある犯罪の落とし穴に、はまらずに済むかもしれません。
(T.K)
『高野山参拝旅完全ガイド』
 東京ニュース通信社<

 真言密教の聖地、高野山。仏の智慧を学び世に伝える僧侶たちの修禅の場として、空海が開創しました。山上盆地にひろがる壇上伽藍、大杉林に囲まれる奥之院、そして総本山、金剛峯寺。悠久の時空を刻む、世にもまれな一大霊場が完成しました。
 ここは時空の制約を払い、大自然と自らが溶け合うような瞑想の地。参拝することで、弘法大師空海の教えを五感で感じてみたい、曼荼羅の世界を堪能したい、高野山の魅力を堪能できる一冊です。
(Y.N)
『私の実家が売れません!』

 高殿 円/著  エクスナレッジ

 古くて不便でガラクタでいっぱいで、誰も相続したくない親の実家。しかも、家を取り壊してもその土地に別の家を建てることはできない再建築不可物件。当事者である親は面倒がって動こうとしない…。
 そんな実家問題に直面した小説家が一念発起したエッセイです。不動産仲介業者から見放され、家に溢れるガラクタを家族で片付け、自らの手で売るまでの一部始終が書かれています。
 忖度なしの本音で書かれた本書で、誰もが当事者になりうる実家問題を考えてみましょう。

(S.S)
『海のうた』
 左右社編集部/編  左右社

 「海」をテーマに、今の時代を生きる歌人の短歌を百首集めたアンソロジー。真っ青な装丁を紐解けば目の前の海。想像の海。記憶の海。比喩としての海。様々な海の短歌が載っています。きっとそれぞれの「海」の捉え方に共感したり、驚愕したりするはず。最初からみてもぱらぱらとみても楽しい一冊です。
 収録の短歌には「海にくれば海の向こうに恋人がいるようにみな海をみている/五島諭」や、「空調の音さざ波に変わりゆく寝不足の午後の図書館は海/戸田響子」など。図書館も海になるひと時があること。思わず共感してしまう短歌もあります。
(Y.M)