平成27年2月号



アレックス・シアラー/著 金原 瑞人・中村 浩美/訳 求龍堂

 主人公「おれ」は、兄ルイスと離れて暮らしてきた。堅実に暮らすおれと、定職もつかず、さまようルイス。しかしルイスの脳に腫瘍が見つかった。
そして家族の生活は一変した。
かけがえのないものを失った時、初めてそのありがたみがわかる。人生は一度きり、だから生きる。シアラーが兄のことをもとに描いた小説。病をきっかけに、兄弟、家族が時間を共にすごしていく。
やさしさと人が生きることを改めて教えてくれる。
「おれたちはそんなにやわじゃない。」
ルイスの口癖が心に響く一冊。



池田 香代子/編著 岩波書店

 君たちが生きる日本はどんな国?君たちは毎日どんなことを考えている?では今、同じ時を生きる世界の10代は何を考えているのだろう。この本は、世界の様々な困難に立ち向かう10代からのメッセージがたくさん!
平和、東日本大震災、子どもの貧困、フクシマ…。
人と人とのつながりの大切さについて考えてほしい。
君たちはこれからどう生きていくのか?



石田 由香里・西村 幹子/著 岩波書店

1歳3ヶ月で病気で全盲になった由香里さん。今、イギリスの大学院へ通う彼女が歩んできた道は、決して順調なものではなかった。自分が作った壁、母から全てを否定されたこと、信じ続けてくれた人、そして気づいたこと。
一回だめでも、何度でもやり直せる、いつかOKが出る。誰でも必要とされている。本の表紙の由香里さんの笑顔を見てほしい。彼女の話を聞いてほしい!



藤谷 治/著 ポプラ社

 冷たい雨の後、東京が霧におおわれた日の出来事です。通学路は異次元の町のようでした。少年はしっかりと歩いて帰りました。ほっとして家に入ろうとした、その時です。誰かが声をかけてきました。「あっ。」黒い影はあっという間に少年に近寄りました。なんと気味の悪い男でしょう。
すべてが灰色でこうもりのようなのです。
「カクイだなっ。」
少年は叫びましたが遅すぎました。こうもり紳士は少年を連れ去っていきました。
江戸川乱歩誕生120年を記念して、藤谷治さんが現代によみがえらせた少年探偵団!怪しい感じ、匂い、空気、何かが起こりそうな気配。
少年の運命は?カクイの正体とは?乱歩が初めてでも大丈夫。いざ乱歩ワールドへ!



ひすいこたろう/物語 ヴャチェスラフ・ミシチェンコ/写真 飛鳥新社

 どうすればいいか、わからなくなるときって誰の人生にもある。でも、そんなときは立ち止まったっていいんだ。焦ることはない。時は君の味方だから。君の世界を味わえるのは 世界で君だけなんだから。
だいじにだいじに ゆっくりゆっくりカタツムリが誰よりものろまで遅いのは、誰よりも世界を味わっているから。
写真と言葉が紡ぐやさしいメッセージです。