平成30年3月号



リンダ・マラリー・ハント/著 中井はるの/訳 講談社

 小学6年生の少女アリーは、読み書きができません。変な行動を起こす度に、周りから変な目で見られます。しかしそれは、周囲と距離を取ることで自分が傷つかないようにするための方法でした。そのことに気がついた新任のダニエルズ先生は、特別な勉強法をアリーに提案し、彼女の本当の才能を開花させていきます。次第に心を開いていくアリー。友人もでき、いじめにも立ち向かっていきます。



ディルク・ラインハルト/作 天沼春樹/訳 徳間書店

 14歳のミゲルは、帰らない母親を追い故郷グアテマラの町を出てアメリカを目指します。「必ず迎えにくる」と約束し、妹を残して家を出たミゲル。警察に見つかったら、家に送り返されるどころか、もっとひどい扱いを受けるかもしれません。やっとの思いで貨物列車の屋根に飛び乗ると故郷はみるみる遠ざかっていきます。そこで出会った3人の仲間と、危機を切り抜けながらメキシコを縦断していきますが、悲しい別れが近づいていました…。



日本青年心理学会/企画 福村出版

 生活をしているわたしたちにとって、「悩み」とは非常に身近なものです。悩んでいる時は、落ち込んだり悲しくなったりしますが、それは悪いことではなく、心が成長するうえで非常に大切なことです。
 この本では、約70個もの悩みに心理学の専門家が答えていきます。きっとみなさんが共感できる悩みもあるはずです。心を軽くするには、その悩みを誰かと共有すると良いそうですよ。



安東みきえ/著 講談社

 志保と美月と祥吉は幼馴染み。オカルトマニアの美月に誘われ、3人で幽霊屋敷と呼ばれている建物へ肝試しに行くことになりました。その日の夜、肝試しをしていると、どこからか物音が…。恐ろしくなり、急いで逃げる3人でしたが、とうとうその影に捕まってしまいます。
一方、家庭での志保は思春期真っ只中。複雑な母との関係に悩んでいました。
 ホラー要素を交えながら、中学生の多感な様子が描かれています。



黒瀧秀久/著 岩波書店

 今、大河ドラマ「西郷どん」で熱い幕末。そんな激動の時代に、いち早く世界を意識して活躍した男・榎本武揚がいました。オランダに留学し、日本の近代化に大きな役割を果たした彼。「蝦夷(えぞ)共和国」樹立を宣言し、選挙によって総裁に選ばれますが、箱館戦争では旧幕府側として敗者となる後半生を送ります。獄中で書き綴った日記や記録からは、激動の時代を生き抜いた彼の人生観を感じることができますよ。